多くの著名な文人墨客が利用

長寿館

公開日:2015年7月31日

多数のガイドブックやテレビ・メディア、最近では映画「テルマエロマエ」のロケ地としても有名な日本を代表する秘湯の宿である。

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抜群のノスタルジック空間

法師温泉長寿館は群馬・新潟県境の山間に佇む温泉宿。昔から三国峠を越える旅人が利用し、川端康成や与謝野晶子をはじめ、多くの歌人・文人が逗留。多数のガイドブックやテレビ・メディア、最近では映画「テルマエロマエ」のロケ地としても有名な日本を代表する秘湯の宿である。

また、五十代以上であれば、旧国鉄フルムーンCMでの上原謙と高峰三枝子の混浴シーンを思い出す方も多いのではないだろうか(ちなみに館内には当時のフルムーンポスターが飾られている)。温泉好きなならば、一度は利用してみたい宿として人気が高い。

玄関のある本館は明治8年築、法師川沿いに建つ別館は昭和15年築、そして和洋折衷の鹿鳴館様式で建てられた大浴場「法師乃湯」は明治28年に建築され、それぞれが国登録有形文化財に登録されている。それらの建物は、明治・大正・昭和・平成と時代を経たノスタルジックな情景を色濃く残している。

五回目の訪問

近いうちに絶対訪れよう。そう決めてから一ヶ月。約束(?)通りにスノーボードの滑り納めを兼ね、法師温泉長寿館を訪れた。この宿を訪れるのは五回目。初訪問から足かけ九年にもなるが、いつ訪れてもこころが踊る。

前回3月の立ち寄り時は、残雪があり、いまだ冬・・・という印象だった。しかし、4月ともなれば柔らかな春の日が差すポカポカ陽気。まだ新芽は吹いていないが、確実に空気は春の匂いを運んでいた。

少しでも長く長寿館で過ごしたい。チェックインは15時からだが、30分前にはノスタルジックな世界に足を踏み入れていた。はやる気持ちを抑えながら建物を写真撮影。まるでテーマパークの開場待ちのような心境だ。

帳場でチェックインを済ませ、部屋までの行きすがら案内係が館内の説明をしてくれるが、僕はニコニコしながら馬耳東風。館内に漂う古い木造家屋の匂いやら、廊下を歩くたびに響く木の軋み音を愉しんでいた。

記憶の中にある光景

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今回利用する別館は本館とは法師川を挟んだ対岸に建つ客室棟だ。別世界の雰囲気がある本館に比べ、昭和初期の建物はどことなく懐かしく、身近な雰囲気が感じられる。記憶の中にある光景・・・昔の実家を思い出す。

感傷にに浸りながら案内された部屋は五号室。8帖の本間に4帖の次の間のあるゆったりとした和室に炬燵が置かれている。耳をすませば法師川のせせらぎが聞こえて、炬燵でいただくお茶は格別。いいねぇ・・・このまったり感。広縁から窓の外を見ると、川を挟んで本館と各浴場が見渡せる。まるで長寿館を中から一望しているかのようだ。

ふと壁に掛かる額縁をみて驚いた。この部屋はなんと昭和37年に俳優の三國連太郎、いわゆるスーさんが利用した部屋であるという。まさか名優が宿泊した部屋を利用できるとは・・・本当に長寿館は奥が深い。

生まれたて珠玉の温泉

少しの時間、部屋の情緒を満喫すると浴衣に着替え、まずは「法師乃湯」に向かう。長寿館の代名詞的存在の法師乃湯は、浴槽直下2mから温泉が湧き出す足元湧出泉。ポコポコと気泡をたて湧き出る温泉は、神々しいばかりに無色透明。生まれたての珠玉の温泉を愉しめる浴場は、全国的にも稀で貴重な存在。これこそ温泉の原点であり、究極の温泉といえよう。

ゆっくりと長湯したいので、湯口から源泉を注がない奥の湯船に入る。湯船の温度は41℃前後だろうか。大きな座石に腰を降ろすと石の下からポコポコと気泡が湧き上がる。熱すぎず温(ぬる)すぎず・・・まさに奇跡。夕食の時間ギリギリまで恍惚の半落ち状態で温泉の感触を愉しむ。

夕食は部屋出し。昨年は本館利用だったので食事処だったが、別館は部屋で炬燵に入りながらゆっくりいただける。食事処も悪くはないが、やはり温泉宿の食事は部屋出しが嬉しい。

料理は山菜や川魚など、山の幸を中心に盛り込んだ会席料理。たしかに海の幸に比べると派手さはない。その点は海に近い宿には敵わない。でも奥深さという点では山の幸に軍配が上がる。上州麦豚鍋をメインとした流れるよう会席料理を味わい、腹固めで契約農家から仕入れた魚沼産コシヒカリでシメ。食べきれないご飯は夜食用のおにぎりにしてもらい、しばし休憩。

休憩後は「玉城乃湯」に取り舵いっぱい。男女入替制なので男性時間は20時以降になるが、ほのかな幽玄世界での湯浴みは至高の極み。圧倒的な檜の存在感と香りが実に素晴らしい。巨石を配した野天風呂もいいが、やはり内風呂がいい。日帰りでは利用できない宿泊者だけの特権を存分に堪能した。

「玉城乃湯」を堪能した後は「法師乃湯」に向かう。夜も更け浴場は人影はまばら。ほのかに灯る行灯が「玉城乃湯」以上の幽玄世界を映しだす。もはや言葉はいらない。いや言葉を発してはいけない。耳を澄ませば、「ポコポコ、キュルキュル、プコ」と、まるでシャボン玉のようにゆらぐ気泡と一緒に湧き上がる温泉の音が聞こえる。流れゆく至福の時間。嗚呼!このまま時が止まってくれないかなぁ・・・

これ以上の贅沢があるなら出てこいや!

いつもは苦手だが温泉宿にくると早起きができる。朝五時過ぎには「玉城乃湯」と「法師乃湯」をはしご湯。こんな贅沢なことはない。これ以上の贅沢があるなら出てこいや! (去年と同じやんけ!)

長い朝風呂が終わり、部屋に戻ると、すでに朝食の準備途中。ふぅ~、ギリギリセーフだ。献立は昨年とほぼ同じ。オーソドックスではあるが、バランスのとれた朝飯。これが嬉しいんだよね。

朝食後はチェックアウト前の最後の未練湯。昨年できなかったことを今年はリベンジする。この行動は温泉好き、いわゆる湯ヲタじゃないと理解できないかも(苦笑)。

いつもながら名残惜しみつつチェックアウト。気合い体力満タン。かぐらスキー場までほんの数十分。さて、今シーズンのラストラン、シュプールがオイラを待っている! ん? スノーボードもシュプールでええんかいな?まあええか!

→ 源泉かけ流し温泉ガイド | 温泉新選組のページ: 長寿館

データ

住所:
群馬県利根郡みなかみ町永井650
電話番号:
0278-66-0005
ホームページ:
長寿館
チェックイン:
15:00
チェックアウト:
10:30
宿泊料金:
14,850円~ [2名利用 1泊2食付]
立寄入浴:
10:30~13:30 [1,000円]
客室数:
和室 37室
食事場所:
食事処・部屋出し・広間(4名以上)
駐車場:
あり
送迎:
-
主な泉質:
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
鉱泉分類:
低張性弱アルカリ性高温泉
温泉利用:
源泉100%かけ流し(法師乃湯・長寿乃湯) かけ流し循環併用(玉城乃湯)
浴場設備:
大浴場・内風呂・露天風呂
塩素消毒:
塩素消毒なし
アクセス:
【電車】上越新幹線 上毛高原駅 バス乗換 猿ケ京~法師温泉(60分)

【車】関越自動車道 月夜野IC~国道17号~県道法師線(25km)

長寿館

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